『世界遺産と天皇陵古墳を問う』
今尾文昭・高木博志編 2017年1月7日発行
(株)思文閣出版より
この本は10人の専門家がそれぞれに章を分担して主に百舌鳥古市古墳群についての問題点を検証している。
特に私が注目したのは岸本直文氏の古市・百舌鳥古墳群の王陵の被葬者の章です。
岸本直文氏は奈良県桜井市にある箸墓古墳を247年頃に没した卑弥呼墓とする。
又、5世紀前半の誉田御廟山古墳は応神天皇陵ではなく、反正天皇陵と、
5世紀中頃の大仙古墳を仁徳天皇陵ではなく、454年没の允恭天皇陵とする。
そもそも仁徳天皇陵古墳なる呼び方が世界遺産認定に向けて統一的な名前が必要だとして使われているようだが、
陵は天皇のお墓を意味する。又、古墳もお墓の事だから、天皇陵古墳とは天皇お墓お墓となり意味的には可笑しい。
しかし、これを仁徳天皇陵と一般的に呼ばれている古墳と解釈させる事になっている。
問題は、実際に埋葬されている人が全く分からないのではなく、他にもそれらしい候補者が居る事である。
本当は允恭天皇陵かもしれないのに仁徳天皇の名を呼び続けるのは学術的には色々と問題があるようだ。
だから、固有名詞を出すのではなく、大山古墳や大仙古墳のように一般名による呼び方の方が学問的問題は少なくなる。
だが、ここに来て何故、被葬者が変わる可能性があるのだろうか?
次回から考えてみようと思う。
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